遅くなりましたが、10月18日に観に行った
初代ローマ皇帝アウグストゥスの日時計のお話を。現在カンポ・マルツィオと呼ばれる軍神マルスの野原に、
表面積が160×75メートルという巨大な日時計がありました。
時計の針はなんとエジプトから運んできた
約22メートルの高さのオベリスク(古代エジプトの記念柱)です。
![MERIDIANA1](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/56/0000021456/90/img281f8fb3zikdzj.jpeg)
当時(紀元前10年)のエジプトは、
ご存知の通り、ローマ帝国領でした。
アウグストゥスがクレオパトラ(とアントニウス)の軍と戦って
勝利した約20年後のことです。
日時計の文字盤はトラバーチン石でできており、
文字はブロンズで刻まれていました。
時刻はもちろん、月、季節、星座までも分かるようになっていたそうです。
更に、毎年9月23日、アウグストゥス帝の記念日には、影が
平和の祭壇アラ・パチス(現在とは異なる場所にあった)の入り口に
ちょうど到達するようになっていたそうです。
アラ・パチスとはアウグストゥス帝が戦勝を祝って造らせた
大理石彫刻の素晴らしい祭壇です。
近くにはアウグストゥス帝一族の墓もありますから、
まさに権力の象徴です。
まずは日時計の針だったオベリスクを見に行きましょう。
これは今ではいつでも誰でもモンテチトーリオ広場で見ることができます。
カンポ・マルツィオ通り48番地の私有地内地下にある文字盤は
許可無しでは見られません。
![MERIDIANA4](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/56/0000021456/93/img64b2ada4zik2zj.jpeg)
これがそのカンポ・マルツィオ通り48番地アパートの入口。
TBSの『世界ふしぎ発見!』で見たことがあったので、
どうしても入ってみたかったのです。
やっと願いが叶いました。
昔は地上だったところが今では地下になってしまっているので、
残念ながら水に浸かっています。
![MERIDIANA3](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/56/0000021456/92/img9bab54a8zikezj.jpeg)
ギリシア文字で4月とか9月とか刻まれているのだそうです。
おもしろいなあ。
隣には「日時計」という名のBARがありました。
![MERIDIANA2](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/56/0000021456/91/img7b06b099zikfzj.jpeg)
ところでプリニウスによると、この日時計は
西暦47年には(作ってから約30余年後)には、
既に狂ってしまっていたそうです。
その後、日時計の針だったオベリスクは捨て置かれた状態でした。
そしておそらく4~6世紀の天災(火事や地震と思われる)、
または11世紀の神聖ローマ帝国によるローマ略奪により
破壊されてしまいましたが、
16世紀に、ローマ教皇シクストゥス5世が、
数々のオベリスクを巡礼者の道標となるように所々に再配置。
その一つとしてこれがモンテチトーリオ広場に置かれたわけです。
一種のリサイクルですね。
いずれにせよ、1世紀の政治家プリニウスの著書『博物誌』や、
今でも残る日時計の一部によって、
その偉大さをしのぶことができます。